言葉

日常のひと休みに

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

付喪神74

わからないことばかりをせめるが、教えられないという側にも問題があるのではないかと思う。わからないから教えなければならないはずなのに、わからないことをせめる。それは、教えるということに対して本末転倒なのではないだろうか。 好き嫌いではなくこれ…

付喪神73

キャッチボールだ。 投げたボールを相手が取って、それを投げ返す。それが教えることだ。 言うは、ただボールを投げるだけ、どこに投げようが関係ない。 伝えるは、相手に向けてボールを投げ、伝えたは、投げたボールを相手が取るだけ。 教えるは、相手にボ…

付喪神72

言った、伝えた、教える、このちがいをそんなことはわかっていると思っている人は多いだろう。 でも、実際は無意識に同じだと、いや、教えるということを言ったでかたずけてしまっている人は多くいるとおもう。 言ったは文字通り言うだ。伝えたはそれより教…

付喪神71

もしも、神様が人間をつくったのなら、きっと自分自身がわからなかったからかもしれない。 人がAIをつくるのはなぜだろう、と考えたとき、なんだかそんなことを考えた。自分がわからないから、自分と似たものを、自分の中にある不確定な要素を入れて、わから…

付喪神70

主君は文字を書きすぎて、手を、指をいためたようだ。オイラはバカだなとおもう。 どんなことでもやりすぎはよくない。でもやりすぎてしまうことがある。それが人だ。 ただ主君がやりすぎているということは、オイラもこき使われているということだ。 やれや…

付喪神69

ひどく風の強い日がある。優しい音には聞こえない。風を見ることはできないが、風の吹いている方は、木々や鳥が教えてくれる、もちろん雲も。 空にも流れがあって、水、川にも流れがある。人にも流れがあり、トキにも流れがある。その流れに逆らうというのは…

付喪神68

誰かに話すわけでもない。でも、主君は誰かのために始めた。誰かの何かになればと書き始めたのだ。 今、誰かに届くことがなくても、外に出さなければ誰かのところへ届くことはない。まるで海の漂流物のようなものかもしれないが、その中には必要な人に届いて…

付喪神67

主君が色々やって、おもって、書いて、1年が過ぎた。毎日オイラと過ごした時間だ。1年が、長かったのか、短かったのかは、わからない。 オイラがこうして出てきたのは、その1年の後半だ。主君がその前からずっと、こうして書き続けていたことをオイラ知って…

付喪神66

なんだかんだ言っても、世の中、したたかで、嘘をつくのがうまく、自分の心の内とは関係なく、自分を他人のようにおもえ、人と接して行ける人の方がうまく行く。つまり、悪人とは言わないが、善人でない人の方がうまく行くのだ。 自分はそんな人にはなりたく…

付喪神65

久しぶりのオイラの出番だ。 主君はよくわからないことを言っていたが、なんとなく心の平穏を取り戻したようにおもう。 人は日々の中で心乱されることばかりのようだ。その中で人は何かと折り合いをつけるために、色々な理由を考えたり、何かを知ろうとした…

付喪神64

そんなことをおもいながら、僕が求めているのは、結局他者とのつながりなのだろうとおもう。つながるという程度も度合いも人それぞれだろう。対話というのは、もしかしたら、その人それぞれというのをお互いに近づけるために必要なのかもしれない。 人はこわ…

付喪神63

きっと世の中は、より矛盾を受け入れる、もしくは、無意識に矛盾を持っていることに気づかないでいられる、そういう人ほどうまく行くのだろう。 己の中の矛盾に気づかなければ、生き方がかたくなる。矛盾に気づかなければ、迷うことなくやってのける。 矛盾…

付喪神62

夢をみることと幻想の中にひたることは同じではない。 しかし、とてもよく似ているような気もする。それは、どちらの中にも同じような要素があるとおもうからだ。もしかしたら、みている方向がちがうのかもしれない。 僕は夢みているのだろうか、幻想の中に…

付喪神61

僕はきっと君と出会っていなかったら、書くことすら、あきらめていたかもしれない。 何もかも、うまく行かないから、うまく行かないなら、はじめから何もしなければよかったと思うことがある。 だけどそれは、何かをやって来たから、何もかも思うようには行…

付喪神60

対話というのは対話できる同士でしかできないことだろう。自分との対話でも自分以外の存在を知るからこそできることのようにおもう。 そこから新しい何かが生まれてくるのに。 そもそも対話なんてことは誰もしたくないのだろうか。様々なことを自分以外の人…

付喪神59

何もしない時間、無駄な時間、ただそこにあるだけの時間、そういう時間があるだろうか。 様々な効率をよくして、多くの使える時間を作り出したはずなのに、そういう時間がなくなったなら、それはより負荷をかけただけのものではないのか。 どうして人は人を…

付喪神58

僕が今こうして書いていることは、今も何処へ向かっているのかわからない。わからないけど、何かがあるってことはわかる。 人は命と向き合うとき、自分と向き合えるのかもしれない。だから生きるということのどこかには、自分と向き合うってことが含まれてい…

付喪神57

この世の中にあるものは、人のそういう何かから生まれたものが多くあるんじゃないかっておもうんだ。 君も、そして僕が書く物語も。だからこそ僕はそういう何かを書きたいとおもうんだ。 あの日、命を落とした人の中には、どこかですれちがった人もいたかも…

付喪神56

祈る。人以外の生き物で祈るものはいるだろうか。 願いと祈りはとても近いようにおもう。祈りや願いによって生まれたものも多いだろう。 僕は祈りや願いのことを考えると、あの時のことをおもいだす。あの大地が波打つような現象を…。 あの時、多くの人が願…

付喪神⑤⑤

うん。なかなか良い話だった。って、おい!主君、主君よ、終わりか、終わりなのか、ありえないだろう、こんな終わり方。 確かに、オイラの話は書いたかもしれない。でも、それは、それでは主君の話にはならない。ただオイラの話だけ書けばよかったのだ、ここ…

付喪神⑤④

とはいえ、それほど大袈裟なことではない。ある意味では人が言葉を他者を相手に使った時に、人はその覚悟を自然にしているのだ。日常生活の中で。 ただ表現者はそれを意識的に再認識しなければならないというだけの話だ。 そうおもい、僕は君の物語を書き始…

付喪神⑤③

人は言葉をもって考えるということができ、進化したのかもしれない。 言葉というのはとてつもなく凄い道具だ。それは同時に扱うのに注意が必要な道具でもある。言葉によるイメージは文化や人によって、それぞれ異なるからだ。同じ言葉にすべて同じイメージを…

付喪神⑤②

人はそういうことで、相手との接し方や距離感などが変わるのではないかとオイラはおもう。オイラは人ではないからわからないけど、人を見ているとそんなふうにおもえてならない。 その情報を多く共有している人であるなら、言葉は少なくてもお互いにわかりあ…

付喪神⑤①

主君がオイラの話を書き始めた。 時々おもう、主君にオイラの声が聞こえているんじゃないかと。もちろんそんなことは絶対にない。 言葉というのはとてつもない情報のメモリーだとオイラはおもう。 主君の中の言葉の情報とオイラの中の言葉の情報が一致するこ…

付喪神㊿

さあ、ここから君の生まれた知らない国の知らない土地へおもいをはせてみる。想像という中の君の国、君の世界、君の時間、現実の中にある君から生まれてくる様々なものたちは、とても素敵なものたちだ。 世界はひろがる。それは線ではなく、もっと別のなにか…

付喪神㊾

僕は君と出会って、様々な人に出会って、そう気づかされた。 僕には表現したいことや伝えたいことがあるみたいだ。そして求めているものがあるみたいだ。そのことで誰かの役に立てたならと思っているみたいだ。そうすることで、自分が救われるような気がする…

付喪神㊽

こうしている間も世界は動いているんだ。そしてその世界の中で僕も動いている。それは誰もが同じことだ。 世界の流れはとてもはやい、気づけば景色が変わっている、そんなはやさだ。そのはやさに合わせる必要があるのだろうか…。 運動会でかけっこのはやい人…

付喪神㊼

それからずっと目を向けられないでいた彼女に目を向けると、彼女を失ってしまったのかと…。 今にしておもえば、あの時すでに何が始まって…いや、変わっていたのかもしれない。 現実の時間の中ではもう会えないかもしれない彼女、そのことが本当の意味での失…

付喪神㊻

僕は弱いから進めなくて進むのが怖くて、外の時間を無視して、自分の中の時を止めたんだ。 僕は自分の中に逃げたのかもしれない。それが悪いことだとはおもわないけど、僕がそれを望んだわけではない。 僕は彼女に好きとしか言っていない。好きと言えない人…

付喪神㊺

僕は何が書きたいのだろう。君と出会って、書きたいとおもって、彼女のことを思い出して…。 彼女と初めて手をつないだのは、寒い日ではなかった。なぜだろう、ふと手をつなぎ歩きたくなったのだ。手をつないで歩いたあの橋を忘れられないでいる。 きっと多く…