言葉

日常のひと休みに

付喪神57

 この世の中にあるものは、人のそういう何かから生まれたものが多くあるんじゃないかっておもうんだ。

 君も、そして僕が書く物語も。だからこそ僕はそういう何かを書きたいとおもうんだ。

 あの日、命を落とした人の中には、どこかですれちがった人もいたかもしれない、もう連絡をとらなくなってしまったかつての親しい人もいたかもしれない、僕にとって大切な人の大切な人がいたかもしれない。

 人だけじゃない。たくさんの大切なものがそこにはあったはずなんだ。それは物理的なものだけじゃなく、そればかりに目を向けていては失ってしまうものも。

 人は大切な何かを最初から持っているんじゃないだろうか。