言葉

日常のひと休みに

付喪神63

 きっと世の中は、より矛盾を受け入れる、もしくは、無意識に矛盾を持っていることに気づかないでいられる、そういう人ほどうまく行くのだろう。

 己の中の矛盾に気づかなければ、生き方がかたくなる。矛盾に気づかなければ、迷うことなくやってのける。

 矛盾という言葉のように、生きるためには矛と盾が必要になる。

 理屈っぽくなれば、己の中の矛盾を受け入れるのは難しいだろう。

 矛盾というのは人の中に存在するのだ。そうでなければ、おそらく他者を理解することはできないだろう。光と影のように、人が存在すればそこにどちらも生まれる。そしてそれがあるからこそ、人は様々なものになれるのだ。他者と寄り添うことができるのだ。