言葉

日常のひと休みに

付喪神㉜

 そうして僕は作家になった。これでこの物語は終わりだ。 

 なんてことがあるわけがない。そんな話があったなら、それは本当にうらやましい、棚からぼたもちの話だ。何のドラマもなく、思ったように進む人生、そんなことがあるわけない。

 

 

 

 僕は大学まで通わせてもらって、これといって何かをやりたいわけでもなく、様々な言い訳を並べて、ふらふらしていた。そんな人生だったと言えるかもしれない。

 ずっと夢の中にいたと言ってもいいのかもしれない。どこかで何かがあるだろうと、自分は物語の中を生きているのだと、勝手に思い込んでいたのかもしれない。

 しかし、現実には何もないのだ。現実だけではない。物語においても何もないのだ。

 そう、ある時から今まで僕の人生は止まっていたのだ。