言葉

日常のひと休みに

付喪神㉖

 物語でよくリアリティ、リアリティという人がいる。でも人気のある漫画の設定はありえない日常の方が多かったりする。本当に日常、多くの人が経験していることを書いたなら、それは物語になるだろうか。平穏や不安のない安定を求めている人の日常、それが日常だ。物語に共感するのは登場人物だ、その心だ。リアリティはそこにあるのではないだろうか。

 もちろん、その世界を現実のように、というか受け入れてもらう為の普通を示さなければならない。でも、その普通は何が示すのだろうか、何によって、その普通を受け入れられるのだろうか、そんなことを思う。

 ありえない日常を、仮想であったとしても、1つの世界を感じてもらうためには、登場人物の心が大切なのだ。

 それはすなわち人にとって心が大切だということではないだろうか。