僕が万年筆を使い始めたのは、大学に入ってからだった。おそらく日記のようなものを書き始めたのがきっかけだ。この頃から誰に話すというわけでもなく、自分の思いをノートに書き始めた気がする。
ここからが、今日までの人生に大きく影響しているのかもしれない。
僕は恋をした。
おそらくそれが本当の初めての恋だったかもしれない。もちろん、それまでに恋をした、人を好きになったことはある。けれどそれは彼女に出会うまでと出会った後では、まったく違う意味を持っていたのかもしれない。
彼女は僕とはまったく違った人生を歩いてきていた。