言葉

日常のひと休みに

付喪神㉙

 おい、おい、ちょっと待て主君。あんたが今ここでそうしているのが偏見ではないのか。オイラを女性と思い込んでいることは偏見ではないのか。偏見だろ。それ以外の何ものでもない。オイラが女性ならいいが、オイラがそうじゃないと言っているのだ。

 オイラから言わせてもらえば、こうだと決めた時から偏見は始まるのだ。

 こんなペンだとオイラを決めつけただろ。それが、それこそが偏見の始まりだ。こうだとか、そうだとか、ああだとかじゃない。決めたことが偏見なんだ。もちろん、ある意味ではそれをそのものをそのことを理解するためには必要なことかもしれない。

 でも、もしかしたら、そうじゃないかもしれない、という可能性はいつも持っているべきではないのか、主君、どうなのだ?