主君の心が指先を通じて伝わってくる。これは理屈ではない。そう感じてしまうのだ。そういうことに理由なんていらない。
主君のちからの入り方が変わるからとか、書くスピードが変わるからとか、主君の手の温度が変わるからとか、そういうことは後からつけた理由だ。
理由なんてものが生まれる前に、伝わるものは伝わる、結果が出てしまうのだ。
それが、オイラと主君の関係だ。
そこに理由なんてない、必要ないことなのだ。だって、誰かに説明するようなことではないし、そうする必要なんてないからだ。
オイラは主君の心を通して、人の心を知った。