言葉

日常のひと休みに

見えない顔

「さっきの人、イケメンだよね。」

「そうだった?よく見なかったけど…。」

「絶対、イケメンだよ。」

道を歩いていると、

そんな会話が耳に飛び込んできた。

『そのイケメン、絵に描ける?』

と、つぶやいた…。

「やっぱり、うちの部長キライだ。」

「だよね、あの脂ぎった顔がキライ。」

「性格も最悪。」

そんな会話が耳に飛び込んできた。

『その部長の顔を描ける?

性格も説明できる?』

と、つぶやいた…。

好きな人の顔は思い描けるのに、

現実にはあらわせない。

思い描いた顔を絵にすることはできない。

ピンボケの写真みたいだ…大好きなのに。

もしも、

写真みたいに人の顔が描けたなら…

その絵はその人になるのだろうか…

笑った顔は

その人が笑った顔と同じなるのだろうか…

好きな人の顔が

嫌いな人の顔になる…。

見ていた顔はどっちだろう…

そもそも

顔が見えていたのだろうか…

うつしだされた境界線は

本当に境界線なのだろうか…

見えてるものと見たいものは違う…

見たいものが見えてるものだろうか…

見えてるものが見えてるのだろうか…

あなたの顔は本当に私の知っている顔?

 

鏡の前に立っている自分を見つめている…。