言葉

日常のひと休みに

押し付けられた交通ルール

人が作った道には人のルールがある。

 

ある日、車を運転していると

目の前を猫が走って横切った。

慌ててブレーキを踏む。

交通量の多い道は

ときどき横断を待つ猫を見かける。

 

また別のある日

あまり人通りの多くない道で

車を運転していると

目の前をハクビシンが横切った。

慌ててブレーキを踏む。

ゆっくりと歩いて横断して行く。

 

同じ道を別の日に

今度は自転車で走っていると

目の前をゆっくりとハクビシンが横切った。

今度はこちらを睨みつけるように

ゆっくり歩いて横断していた。 

 

人が作った道に

獣が歩く道が交差している

信号も横断歩道も人が作るもので

獣が作ったものではない。

獣が作った道には

獣が作ったルールがある。

獣が作った道を人が歩くとき

人は獣の作ったルールを守るのだろうか…

自分達で作ったルールを守らない人間が…

 

そう思って今度は

人の作った道を歩いてみた。

そして

そこに交差する獣が歩いていた道を

ゆっくり歩いてみた。

 

人と獣が交差する道には

命の交差があると思った…。