言葉

日常のひと休みに

月影

 終電で最寄り駅、降りる人はまばら。

 駅前の自動販売機の光が道を照らす。

 駅からのびる商店街の道、その閉じられたシャッター通りを歩いてゆく。風がカタカタとシャッターを揺らしている。そこを通り抜けると、少し大きな通りに出る。

 少し長い信号待ち。

 向かいにあるコンビニに、いつものように立ち寄る。いつもかわらない店員、だけど話をしたことはほとんどない。そして、いつものように明日の朝食のパンを買って、コンビニを出る。

 それから少し曲がりくねった道を歩くと、アパートに着く。

 カギを開け、部屋に入ると、窓だけが明るい。窓からさす月明りがほとんど何もなくなったこの部屋を照らす。

 3ヶ月前までは、部屋にさす月影なんて気にもとめていなかったのに…

 私も3日後、この部屋を出てゆく。