言葉

日常のひと休みに

付喪神77

 主君は気づいているのだろうか。オイラと主君はいっしょだということに。主君の心がオイラに伝わっているということに。

 感謝という心は澄んだ空の匂いがした。今まで景色を見ることはあったけど匂いを感じたことはなかった。オイラが匂いというのもおかしな話かもしれないが、そう感じたんだ。

 人の心っていうのは不思議だ。オイラは主君の近くにいるから人の心に触れることが多い。

 ただ、オイラは知っている、人の心は良いことばかりではないということを。今はこうしてオイラは主君の近くにいるけど、いつか主君の近くにいられなくなることがあるかもしれない。それは仕方ないことかもしれないけど…。