言葉

日常のひと休みに

付喪神①⑦

 まずは君の物語だ。君は異国の工房で生まれた。それは職人の手作りによる芸術だ。刻まれた文様は2つと同じモノは存在しない。人と同じだ。

 僕は想像する、君が生まれるまでを。君のずっとずっと前の君がの祖先のはじめの1本ができるまでのことを。

 それは昔話のように口伝によって君の生まれた工房で伝えられている物語だ。もちろん、事実ではない。でも、その物語の中にあるものは真実だ。その物語の中に存在するものが真実なのだ。

 君は、君たちは、今、世界中の人々から愛される存在となっている。その始まりの愛の物語だ。