言葉

日常のひと休みに

付喪神㊷

 おもえば、主君はずっとそうだった。

 今の世の中は、外の世界の繫がりを求め、その繋がりによってお金を手に入れる時代だ。

 ただ外へ外へとひろがって行き、それが金銭に繋がる時代に、主君はお金にならない内へ内へと深く潜り、琴線に繋がる、触れるために、遠くの誰かではなく深くの自分に会いに行っているような気がした。

 主君は時代に逆行している愚か者のようにおもえるが、その愚かさこそが人として大切なものではないかとオイラはおもう。

 自分に出会うことで、他人にも本当の意味で出会える、そんな気がしてならない。