花氷
記憶を氷づけにして
そのままとどめておきたい
記憶を氷づけにして
そのままどこかへ追いやってしまいたい
記憶を氷づけにして
そのまま映画のスクリーンのように
外から見ていたい
いつか氷がとけて
その中身を取り出したとき
少しも色あせていないその記憶
改ざんされていないその記憶
誰の手にも触れられていないその記憶
そんなふうに記憶をとどめておけたなら
人は過ちをおかさずにすむのだろうか
綺麗なものだけ見ていられるのだろうか
とり出す記憶は
どこかへ追いやってしまいたい記憶かもしれない…
再びよみがえるその記憶は
同じように見えているだけで
同じように感じるものではないかもしれない…